日本で住宅ローンを検討する際、大きな選択肢として「フラット35(長期固定金利)」と「銀行ローン(変動金利が中心)」の2つの方向性があります。在留外国人の方にとって、どちらが有利なのかは、永住権の有無や家族構成、将来設計によって大きく異なります。
本記事では、フラット35と銀行ローンのそれぞれの特徴を整理し、在留外国人の方が自分に合った選択をするための判断軸を解説します。
フラット35と銀行ローンの基本的な違い
フラット35の特徴
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供する長期固定金利型の住宅ローンです。主な特徴は以下の通りです。
- 最長35年の長期固定金利(借入時の金利が完済まで変わらない)
- 団信加入が任意(健康面に不安がある方も利用可能)
- 2026年5月時点の金利目安:35年・物件価格9割以下で2.87%
- 頭金10%以上が目安(物件価格の9割まで融資可能)
- 外国人の単独申込は原則として永住権必須
銀行ローン(変動金利)の特徴
銀行が独自に提供する住宅ローンで、変動金利型が主流です。市場金利の動向により金利が変動するリスクがある一方、現在の金利水準は非常に低く設定されています。
- 変動金利型が主流(半年ごとに金利見直しの可能性)
- 2026年5月時点の最低金利は0.625%(三井住友銀行)
- 団信加入が原則必須(健康状態の告知が必要)
- 固定金利期間選択型(10年固定など)も選択可能
- 金融機関により永住権要件が異なる
金利水準の比較
当サイトが整理した2026年5月時点の主要金融機関の金利水準は以下の通りです。
- 銀行ローン変動金利の幅:0.625%(三井住友)〜2.225%(PRESTIA)
- 銀行ローン10年固定金利の幅:2.614%(住信SBI)〜3.527%(楽天)
- フラット35の金利:2.87%(35年・物件価格9割以下)
金利水準だけを単純比較すると、変動金利の銀行ローンが大幅に有利に見えます。しかし、フラット35は35年間金利が変わらない保証があり、銀行ローンは将来の金利上昇リスクを抱えています。どちらが「総返済額として有利」かは、将来の金利動向次第です。
在留外国人の視点での比較
永住権あり・帰化済みの方
永住権を持っている方は、フラット35と銀行ローンのどちらも単独で申込可能です。一般的な日本人申込者と同じ判断軸で選べばよく、以下が目安になります。
- 将来の金利上昇に備えたい・返済額を固定したい → フラット35
- 低金利を最優先したい・繰り上げ返済の計画がある → 銀行ローン(変動)
- 健康面に不安がある(団信加入が難しい) → フラット35
配偶者ビザの方
配偶者ビザの方の場合、フラット35は外国人単独での申込が原則不可ですが、日本人配偶者が主債務者となり、外国人配偶者が連帯債務者となるペアローン形式であれば利用可能です。35年の長期固定金利を活用したい家庭にとって有力な選択肢となります。
銀行ローンは、SMBC信託銀行 PRESTIA、東京スター銀行、イオン銀行(個別審査)などが配偶者ビザに対応しています。これらを併用検討するのが現実的です。
就労ビザ(技人国等)の方
就労ビザの方は、フラット35の単独申込が原則不可となります。銀行ローンでは、PRESTIA、東京スター銀行、イオン銀行(個別審査)、メガバンク(条件付き個別審査)が選択肢となります。
フラット35を利用したい場合は、日本人や永住者との共同名義(家族や親族との購入)を検討する必要があります。
経営・管理ビザの方
経営管理ビザの方も、フラット35の単独申込は原則不可です。銀行ローンでは、PRESTIA、東京スター銀行が確実性の高い選択肢となります。年収・事業実績が安定している場合は、メガバンクの個別審査も対象になります。
団信(団体信用生命保険)の違い
住宅ローン選びにおいて、団信の取り扱いは重要な比較ポイントです。
銀行ローンの団信
銀行ローンでは、原則として団信加入が必須です。多くの銀行で死亡・高度障害時の保障率100%が標準で、追加金利を支払うことでがん保障や疾病保障を上乗せできます。
特に注目すべきは住信SBIネット銀行の「スゴ団信」で、がん100%保障や3大疾病50%保障+全疾病保障を金利上乗せなし(無料)で付帯できる点です。健康状態に問題がない方には大きなメリットとなります。
フラット35の団信
フラット35は団信加入が任意です。健康状態の告知が不要なため、過去に大病を経験した方や、団信の審査が通らない方でも利用可能という大きな利点があります。
独自の保障に別途加入することも可能ですが、加入する場合は通常の生命保険と同じく健康状態の告知が必要となります。
選び方の判断フレーム
在留外国人の方が、フラット35と銀行ローンのどちらを選ぶかの判断は、以下の3つの軸で考えるのがわかりやすいです。
軸1:在留資格
- 永住権あり → 両方検討可能
- 配偶者ビザ → フラット35(ペアローン) + 銀行ローン(PRESTIA・東京スター・イオン)
- 就労・経営ビザ → 銀行ローン(PRESTIA・東京スター)中心
軸2:金利リスク許容度
- 金利上昇を避けたい・返済額を固定したい → フラット35
- 低金利を最大限活用したい・金利動向を見ながら柔軟に対応 → 銀行ローン(変動)
軸3:健康・団信
- 健康面に不安あり・団信加入が難しい → フラット35
- 健康面に問題なく、団信オプションを充実させたい → 銀行ローン(住信SBIなど)
実践的なアプローチ:複数併用検討
フラット35と銀行ローンは「どちらか一方」ではなく「両方を比較する」のが、業界での標準的なアプローチです。例えば配偶者ビザの方であれば、以下のような併用検討が現実的です。
- フラット35(ペアローン)で物件価格の80%
- 銀行ローン(PRESTIA等)で残り20%
- 2つの借入を組み合わせることで、金利リスクの分散と頭金最小化を両立
このような組み合わせは「フラット35とその他借入の併用」として一般的に行われており、不動産業者や金融機関の担当者と相談しながら最適な比率を決めるのが実務的です。
まとめ
フラット35と銀行ローンには、それぞれ明確なメリットとデメリットがあります。在留外国人の方の場合、永住権の有無や家族構成によって取れる選択肢が変わるため、「どちらが正解」という単純な答えはありません。
金利の絶対水準、将来の金利動向への備え、団信の柔軟性、申込可能性などを総合的に比較し、複数の選択肢を並行検討するのが現実的なアプローチです。永住権なしの場合は、フラット35(可能であればペアローン) + 銀行ローン2〜3行への同時申込で、最良条件を引き出すのが業界の常識的な進め方となっています。
本記事の情報は2026年5月時点の各金融機関の公開情報および実務実態に基づく目安です。実際の金利・条件・申込可否は申込者の個別事情により判断され、また各金融機関の公式情報は予告なく変更される場合があります。最終的な判断にあたっては、必ず各金融機関の公式情報および窓口でご確認ください。詳細は免責事項をご確認ください。